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ソラマメの窓

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[中庭雑樹多 偏爲梅咨嗟]

[中庭雑樹多 偏爲梅咨嗟]_b0335110_15281800.jpg
いま日本では、桜が一気に咲いていますね。毎年見ますがやはり見事で、また来年も見たいな〜と思ってしまいます。
漢詩には、梅や桃は出てきますが、桜が描かれているのは、まだ見たことがありません。
今回は、鮑照(ほうしょう)の「梅花楽(ばいからく)」という詩の一部です。
中庭雑樹多 (ちゅうていに ざつじゅおおきも)
偏爲梅咨嗟 (ひとえに うめのために しさす)
つぎに、
問君何獨然(きみにとう なんぞひとりしかるや)
念其霜中能作花 (おもえ そのそうちゅうに よくはなをなし、)
露中能作實 (ろちゅうに よくみをなすを。)
と続きます。
"庭には色々な樹木があるのに、私が嘆賞するのは梅の木だけだ。他の木に「先生はなぜあいつ(梅の木)だけをほめるのですか?」と聞かれたら「それは梅の木が霜の中でも花を咲かせるばかりでなく、露に打たれながらも実を結ぶからさ。‥‥」"
詩は、そのあとも続き、
"他の木は暖かくなったら競い合うように花を咲かせる‥‥。" と、根性がない無節操な人びとを例えている詩だそうです。
そう言えば、梅の花は寒い時に咲いて、香りも良く、梅雨の時期に梅の実がなります。
そうなると桜は無節操な部類に入りますね(^_^)。
桜の季節になると、あまり人がいなかった公園にも、カメラを持った人が増えてきます。
同じ桜を狙って撮っているのに、きっと同じ写真はないのです。
最近よく思います。同じ物を見ていても「他の人はどう見ているのかなぁ。」と、
分かったつもりになっていたことが、こんなにも違っていたんだ〜。と思うことが多々あるからです。
言葉が出にくかったり、早く歩けなかったりしたことは、そのぶん余計に時間がかかるのですが、グズグズしている時間の流れの中で見えてくるものも多くあります。特に自然の中に気がつかなかったことが、なんと多くあることでしょう。
このブログを書くにあたって漢詩と出会えたことも素敵なことです。
それにしても、梅のように根性がなくても、ぱっと散っても、あんなに皆んなに喜ばれる桜は、やはり愛すべき花ですね。



by no-shukkettsu | 2017-04-11 20:05 | 療養記 | Comments(0)