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ソラマメの窓

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[どうしても辛いリハビリ]

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吐気が少しおさまった頃リハビリが始まりました。
毎日若い男の子が明るく挨拶をしながら「リハビリに行きましょう。今日の気分はどうですか?」と車椅子で迎えにきてくれます。早くリハビリをしないと他の病気を併発してしまったり、足の筋力が低下したりで、良くないのは分かっているのです。しかし、とても辛くて、思わず「今日は休みます。」と言ってしまいそうになります。でも、いつも「はいありがとう。」と言ってしまいます。

車椅子に乗り、ナースステーションの前で「行ってらっしゃい、がんばってね。」と励まされ、エレベーターに乗ります。その時間はリハビリに行く患者さんが次々と乗ってきます。杖はついていますが元気で1人で行く人、体が硬直して介護している人が話しかけていますが反応が無い人、やはり私と同じように車椅子に乗っている人、常連さんで話しながら乗ってくる人もいます。

リハビリを行う部屋は1Fにあり、天井が高く、広いスペースにはいくつものマットをひいた台や伝え歩き用の手すりがありました。

私は担当のPTさんが前の患者さんのリハビリが終わるまで、車椅子に乗ったまま少し待っています。横には私と同じように、車椅子に乗って自分の番を待っている人がいます。でも、そのころは人に話しかけられる状態ではなく、皆の話し声や外の音を聞いているのが精一杯でした。PTさん達は皆に声かけをしているのですが、患者さんで声を出している人はほとんどいませんでした。「はい。」「いいえ。」「大丈夫。」と言う言葉は出てきても、その他の言葉を出すのはとても難しいのです。

あちらこちらのマットや平行棒でリハビリが行われています。足首や膝を曲げたり伸ばしたり、左右に体の向きを変えたり、手の指を順番に折り曲げていったりしていきます。時々「痛い」とか「うう」といううめき声も聞こえます。小さな豆を箸のようなもので挟む訓練をしている人もいます。

この部屋は音楽が流れていて「○○さんできたじゃない。」「ここ痛くない?」「今日は雨ね。」「○○PTさんは今日研修なのよ。」「○○さんまた明日ね。」などのスタッフの声だけが飛び交っていました。

私の番になりました。車椅子からマットへ移動して終わるまで約15分ぐらいなのですが、頭を動かすと気持ち悪いし、体位を変る度にも気持ち悪いのです。PTさんは「大丈夫ですか。」と聞いてくれるのですが「だめです。」とも言えず。重病の方もやっているのに(充分私も重病ですが。)我慢しなきゃと思い耐えました。でも、時々気弱になってしまい「今日はとても気持ちが悪くてもうできません。」と途中から休むこともあったのです。

院内を歩く練習をし始めました。

はじめは、1F廊下に書いてある緑色の線に沿ってPTさんに支えられながら歩いていました。

初めて階段を見たときは、怖くてとても降りられないと感じた自分にびっくりしました。足がすくんで、PTさんの腕にしがみつき「絶対下りられません。」と言ったのです。いままでどうやってこの階段を下りていったのだろう、「無理。」と思ったのです。

初めて外に出たときも右足が動かず、1人で歩けない自分に驚きました。やはり、PTさんにすがってどうにか移動しました。その時PTさんが「MグループのボーカルSさんも同じ病気なのですよ。」と教えてくれました。Mグループは私もとても好きなので、同じ病気なのに、がんばっている人がいるのだと思うと、少し勇気が出たのです。

その他に、この年はSグループのKさんも癌が見つかり手術したし、お笑いのOさんは鬱でお休みしていたし、みんなそれぞれ大変なのです。それで、自分一人で階段を下りるなんてとても信じられなかったのですが「一人で下りられるようになりますよ。」と言うPTさんの言葉をとにかく信じてみようと思ったのです。しかし、リハビリはとても辛い日課でした。


by no-shukkettsu | 2014-07-16 11:27 | Comments(0)